第146章 恋愛をするつもりはない

有川紘樹は客席に座り、壇上の有川菜央を見つめていた。

いつもの彼女とは、まるで別人だ。胸の奥に、さざ波みたいな感情が幾重にも広がっていく。

あの傲慢さも、わがままも、今の菜央には影もない。

纏う空気は――どこか、水野佑奈に似ていた。彼女の母親の、あの静かな凛とした気配に。

紘樹の胸を締めつけるのは、罪悪感だった。

菜央をきちんと導けなかったからなのか。

それとも、水野佑奈に対して積み残した「償い」のせいなのか。自分でも判別がつかない。

一方で、紘樹の隣に座る佐伯薫は、歯を食いしばっていた。

川西希が優勝を決めた直後の、あの誇らしげな目。

そして、水野佑奈が人だかりの中心で称...

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